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ドイツの古水車小屋での穏やかで手作りな日常を綴ります。
by sinsheim
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ポンコツ号のおかげ?

103日は「ドイツ統一の日」で祝日。お店が全部閉まってしまうので、ドイツ人はここぞとばかりに、おとなりフランスに買い物に出かけます。

「我が家もフランスのスーパーに美味しいもの買いに行こー」とポンコツ号で出発。

しかし、この気軽なはずのドライブから、信じられないような出会いが生まれることに・・・

国境を越えた途端「ブスン、ブスンッ」とエンスト。路肩に停めていろいろ試すもエンジンがかからない。

ADAC(日本のJAFと同じ)に電話をすると、自動対応で「メールに送信した内容を確認してください」とのこと。スマホなどを持っていないので途方に暮れていると・・・ 

一台の車が前に停まり、中年の男性とその息子(10歳)が近づいてきた。 

「私はアルジェリア人で、弟が母国で同じ車に乗っていました。何かお手伝いできますか?」と。

一緒にエンジンルームを見てみるも、やはり治りそうもなく

「じゃあ牽引専用のパイプを買ってきましょう」とホームセンターまで行って買ってきてくれた。

「では、あなた方の家まで牽引しましょう」

「えっ?でもここから100kmはありますよ?」

「そんなのKatzensprung(猫ジャンプ=近い距離)ですよ、さあ行きましょう!」

そして下道を走りながら家へ向かうことに。(かあちゃんと子達は信じられない!と困惑顔。。)

途中通行止めがあり、やむ得なく高速道路へ(本来は高速道路では牽引は禁止)。

ところが不運なことに覆面パトカーに追跡され、パーキングエリアに誘導。

二人の警官の一人はかなり怒っている様子で「ありえない!罰金だ!処罰だ!」と叫び、もう一人は冷静に僕らから事情徴収。

警官は「全くの他人同士?好意だけで100km牽引?信じられないなぁ」と、車をカメラで撮影している。牽引してくれた男性の息子は怯えて顔は真っ青・・・

しばらく警官同士が相談したあと、冷静な方の警官が「今の世の中、本当に善良な人間に出会うことが少ないが、君は数少ないその一人の様だ。今日は特別に見逃してやる。撮影した画像も消すよ。でも牽引はここまでだぞ」と。その瞬間、男の子は泣き出してしまった。

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すでに国境を越えてドイツに入っていたので、ADACと電話で連絡が取れ、一時間後に積載車で来てくれることに。

するとまた男性は「もう日が暮れて寒くなってきた。子供たちと奥さんを先に家へ送りましょう」と、結局本当に家まで送り届けてくれると。どこまで親切なんだろうか・・・。まったくの他人なのに。

その日は我が家で和食をご馳走し、おなかも満たされ、気も緩み、今日の特別な出来事を共有したことで、「今日から友達だね!」という展開に。

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男性の名前はアプダ、息子はユネス。その二日後、今度は彼らが招待してくれた。

最初にユネスが見せてくれたのは、あの「出会いの牽引」をミニカーで再現したもの!

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このモダンで素敵な家は建築家のアプダが自ら設計し建てたもの。

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100平米ほどの室内には扉がなく、広々とした空間。

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計算しつくされた素敵な空間。アプダは「僕は自然を愛するミニマリスト。安藤忠雄を尊敬してるよ」と。

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アプダが手掛けた建物がアルジェリアの紙幣のモチーフになっていた。ただ者ではなさそうだ・・・

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ユネスはカノンとカナルと出会った日から意気投合して、大の仲良しに。うちの周りを案内してくれました。
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「わー、アーモンドの実が沢山落ちてるよ!拾ってアーモンドケーキだね!」

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そしてアプダの只ならぬ食へのこだわり。バルコニーにガスコンロを持ち出し、さながら料理教室!

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美味しいワインを頂きながら料理が出来上がるのを待つ、なんて贅沢なんだー。

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山に遊びに行っていた子達が戻ってきた。何か拾ってきたぞ?

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栗っ!

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夕方、冷えてきたので焚火をすることに。
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「先日ご馳走になったご飯が素晴らしく美味しかったんだけど、お米の炊き方教えてくれる?」
と、かあちゃんはアプダに日本式の炊き方を伝授中。

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夕食は鶏肉のタジン鍋(隠し味には、アプダが1年前に仕込んだ塩レモンのコンフィ)と、

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何時間もかけて煮込んだ羊の肩肉の料理。子供たちももりもり食べ、本当に絶品でした(うっとり・・・)。

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エジプト製の有機的なランプが繊細なストライプ模様を壁に映し出します。

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この日は夜遅くまで時間をおしむように遊びまくった子供たち、あっという間に大親友になりました。親も「食と芸術」の共通のテーマで話が尽きず、これからは頻繁に遊ぶことになりそうです。

これもみんなポンコツ号の故障のおかげ(なのか?笑)???

あらためて父ちゃんはポンコツ号でよかったと思ったのでした。そうだよね?かあちゃん?!(笑)


by sinsheim | 2019-10-07 06:14 | ポンコツ&旧車 | Comments(5)
Commented by roughton at 2019-10-11 13:59 x
私もイランに住んでいたときに同様のことがありました。砂漠の民の考えはそういう具合ですね。砂漠で遭難したら,即死を意味しますから。彼らは無条件で助けます。2CVは建築家にはわかりやすいマニアックなものです。私の建築家の友人でスゥイブル・ヘッドランプのDSパラスに乗っているのが3人もいます。もう、年中エンコしているGSに乗っているのがひとり。CXに乗っているのが一人います。2CVは前後にエンジンが付いたサハラなんていうのもありましたね。
Commented by sinsheim at 2019-10-11 17:00
roughtonさん、ご無沙汰しています。コメント、ありがとうございます!roughtonさんはきっと沢山のミラクルな出会いを経験されていると想像できます。旧車(自転車を含む)は不思議な出会いを導いてくれますね。こうした出会いを大切に、丁寧に暮らしたいと思います。(*サハラは現存台数も少なく超希少車ですね!)
Commented by heidi at 2020-04-11 18:45 x
初めまして!ネット検索中にエンテ写真の載っているSinsheimさんのブログを偶然見つけました。スイス在住の者です。うちにもエンテ(1981年)が一羽います。私がSinsheimさんのこの記事を読んでいる時にモーター好きな旦那が覗き込んで来て、積載車に乗せられているエンテを見て「どうして故障しちゃったの?」と聞いてきました(笑) 他の写真も拝見し「かなり古いエンテだね~」と2人で話していました。ミーティングなどにも行かれているようですね!うちは2011年のフランスで開催された2CVワールドミーティングに参加しました。あと3年ほど前だったかな?ドイツのコンスタンツの近くのAachという場所で行われた小さな2CVミーティングにも行きました。来年はスイスでワールドミーティング(7/27~8/1)があります。
今はコロナで欧州全体で色んな制限が出て自由に動けませんが、良い季節になってきましたし近いうちにエンテでまた色んな場所に行ける日が来ますように。
Schöne Ostern!!
Commented by sinsheim at 2020-04-12 06:20
heidiさん、初めまして!ヨーロッパで日本人のエンテ仲間に出会えるなんて嬉しいです!今年のDETはKarlsruheの予定ですが難しそうですね・・・いつかどこかでご一緒出来ますように!スイスで安い宿見つけなきゃ(笑
Commented at 2020-04-13 00:51 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
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