*絵は宮崎駿氏が1989年に描いたもの*
この街の映画館には「リクエスト上映室」があり、昨年11月に宮崎駿氏の「風立ちぬ」が上映されました。そこで、この街に住む唯一の日本人家族代表ということで、父ちゃんがショートスピーチをすることに。
個人的なエピソードを加えて、面白いスピーチになるように、テキストを何度も手直しして本番・・・
マイク無しで、なんとか聞こえる声で(もちろんドイツ語で)読めました。
*以下、ドイツ語からの直訳なので少しかたい表現になっています*
「・・・中略)宮崎氏の新しい映画を見るたびに、僕の人生はポジティブに変化しました。彼の作品はそのような魔法の力を持っているのです。
細部の表現へのこだわり、特に「昔の工業技術」は氏の得意とするところで、また僕の熱狂的趣味でもあります。その延長上で僕はシトロエン2CVに乗っています。
それは簡素でありながら独創的で愛らしい車なのです。
不覚なことに、長い間宮崎氏も2CVファンだということを知りませんでした。
氏は60年代に2CVを手に入れ、沢山の素晴らしい体験をします。
走行中に急にドアが開いたり、屋根の幌が吹っ飛んだり・・・
そして僕もまったく同じ体験をさせてもらうことが出来ました。
氏は自分の事務所に愛情をこめて「二馬力」(フランス語で2CV!)と名付けます。
どうやら2CVとの体験が彼独自の趣向性を展開させたようなのです。
今日もなお、氏は2CVで東京界隈を走っています。
この事実を知った時、なぜ僕が氏の映画に魅了され、影響を受けてきたのか明らかになりました。
今夜の映画が何を語りかけてくれるのか、また僕の人生が明日どう変化しているのか、楽しみでたまりません。では、どうぞ楽しんでください!」
父ちゃんはやっぱりポンコツ号で良かったなと、
再確認できたのでした。
おわり